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By スポンサードリンク | - | 2008年01月22日 | CM : 0 | TB : 0
「なぁ、ユリウス?」

「・・・・・なんだ」

「ユリウスって、ユリウスだよな?」

「・・・・・はぁ?」


・・・・・・・・・・何を言い出すんだこいつは。

「いや、エースは俺だけど、「俺」は「エース」じゃないんだなーって思ってさ?」


「・・・・・ああ」

そう言えば、確かに以前零していた。

騎士と言う役割に、「エース」と言う名前が付属している、と。


職種として以外の「役割」を考えれば仕方の無い事なのだろうが、
裏を返せば以前とは違う名で生きていると言う事。

その事を指しているのだろう。


「エース、・・・・・押し掛けて来ていきなり其れか」

溜め息を付きながら返せば、啜っていたマグカップから離れ、頬杖を着いた。

「逆だよ。「職場」だと絶対に俺はエースだから。」


確かに、騎士として生活するなら尚更「エース」なのだろう。
女王はもちろん「騎士」として呼ぶだろうし、同僚である白兎も神経質な「アレ」だ、
役職として接して居るのだろう。

「此所に来なきゃ、元の事なんて考えられないし。」

頬杖からそのままへたんと頭をテーブルにつける。


「感傷に浸っていて良いのか?ハートの城の天下の騎士殿が。」

「だめだろうねぇ。只でさえ職場に着けなくて大変なのに、
「時計屋さん」と違って大人気な「騎士様」はいろんな奴の相手してやって大忙しだから。」

やれやれ、とわざとらしくエースが首を振る。


「だがなエース、そ「「エース」って、呼ぶな。」

的を得ない発言に苛つきながら言うと、今迄と違う色を写した瞳と目が合った。


「「俺」はエースじゃあ、ない。」




「俺、は」




怒気を孕んで膨んで居た空気が、どんどん萎んで行く。

そこに残ったのは、以前見た紅い少年。


顔を伏せると同時に、突撃と言って良い勢いで近付いて来て。



「エ、エース・・・・・・・?」

「どうしよっ・・・・・俺「エース」じゃないのにっ、」



「エースじゃない「俺」を、・・・・・見つけられない・・・・・っ、」




「俺が「何」なのかっ判んないんだっ・・・・・!」


頭を垂れたまま、絞り出す様に叫んだ。


「エース、少し落ち着け・・・・・」

未だ顔を上げず、悲愴と焦りを浮かべて居る彼の肩を軽く叩く。


私よりも「2回」前に役持ちに成って居たと聞いたのが「2回」前だ。
つまり、「エース」に成ってから「4回」。

考える時間が出来て、思い至ったのだろうか。


 (いや、)

もしかして、


 (今まで、ずっと感じて居た・・・?)


確かに、思い返すと1度や2度為らず意味無く名前を呼ばれて居た。

もしかすると、あれは。


 (確認・・・なのか?)


相手が、そこに居るという。
自らが、「此所」に居るという。

そして、 相手が、「相手」だという。


 (人間原理じゃないか、そんな)

それでも、

たとえ、学説としての一つの説でも、

 (こいつにとっては、)

存在確認なのだろう。


 (だとすると、)


私の出来る事、は。



「私は、「エース」を「お前」の事として使うから、」


「エースは「お前」で良いんだ」

「エースがお前なんじゃなく、お前が「エース」なんだ」


零した言葉がきちんと落ちて行く様に、言い聞かせる様に呟きながら。


「もし不安なら、私がずっとお前を「エース」と呼び続けて居てやるから。」



        「だから、大丈夫、だ。」



愚図る子供をあやす様に、肩を叩く事だけ。

 (この程度の事だけ、なのだろう。)


――――――――――――――――+−

奴らはグダグダならその方が良いと思うんですよね(何
にしても騎士だけ苗字がないのはなんでやろ、と思った所から
始まった話だったり。
一応ユリウス20、エース17のお話。


By rhitsuka | 時計仕掛けの思春期。 | 2007年10月24日 06:28 | CM : 0 | TB : 0
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